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オルタードスケールの表記は、世界ではどう考えられているのか?

ジャズを勉強していると、一度は疑問に思うことがあります。

例えば、G7に対して使うオルタードスケール。

理論的には A♭ Melodic Minor Scale の第7モードです。

そのため、多くの教則本では、

G – A♭ – B♭ – C♭ – D♭ – E♭ – F

と表記されています。

Melodic Minor Scale の構成音をそのまま並べれば、この表記が最も理論的に整っています。

ところが、私は以前から少し違和感を持っていました。

オルタードスケールをみんな、どう表記しているんだろう?
オルタードスケールをみんな、どう表記しているんだろう?


G7というコードで考えているのに、なぜ3rdが「B」ではなく「C♭」なのだろう。

もちろん理論的には同じ音です。

しかし、実際に演奏する立場になると、「B」と見えた方が、コードとの関係が直感的に理解しやすいのです。

同じことは、A Altered Scaleにも言えます。

一般的には B♭ Melodic Minor Scale の第7モードとして考えるので、

A – B♭ – C – D♭ – E♭ – F – G

という表記になります。

しかし、A7というコードを中心に考えるなら、私は「D♭」よりも「C♯」と表記したくなります。

コードトーンである

A – C♯ – E – G

が見えた方が、演奏中の思考がずっと自然だからです。

では、世界ではどちらが主流なのでしょうか。

現在のジャズ教育では、バークリー音楽大学をはじめ、多くの教育機関が「親となるMelodic Minor Scaleとして表記する」という方法を採用しています。

つまり、

  • G Altered = A♭ Melodic Minor

  • A Altered = B♭ Melodic Minor

という考え方です。

この方法には大きな利点があります。

Melodic Minorの7つのモードの関係が崩れず、理論体系として非常に美しいのです。

一方で、実際のプロミュージシャンの現場では、必ずしもその表記だけが使われているわけではありません。

演奏家は、「今鳴っているコード」を基準に音を認識することが多く、

G7であれば、

G – A♭ – B♭ – B – D♭ – E♭ – F

と頭の中で捉えている人も少なくありません。

つまり、「C♭」ではなく「B」と考えるのです。

その方が、

  • 3rdが一目で分かる

  • コードトーンとの関係が明確になる

  • アドリブ中の判断が速くなる

という実践的なメリットがあります。

クラシック理論では、「一つの音階では同じアルファベットを二度使わない」という原則があります。

そのため、

G – A♭ – B♭ – C♭ – D♭ – E♭ – F

という表記が正統です。

しかしジャズは、理論を学ぶためだけの音楽ではありません。

その場で音を選び、瞬時に反応する音楽です。

だからこそ、演奏現場では「読みやすさ」や「コードとの関係性」を優先した表記も広く使われています。

私は、この二つは対立するものではなく、役割が違うだけだと考えています。

理論を学ぶ段階では、Melodic Minorとの関係を理解するために、正統的な綴りを知ることが大切です。

しかし、演奏するときには、コードとの関係が瞬時に見える表記の方が実践的です。

ですから、私自身が教材を作るのであれば、

理論編では世界標準の表記を採用し、

実践編ではコードトーンが見えやすい表記を採用します。

例えば、

理論表記

G – A♭ – B♭ – C♭ – D♭ – E♭ – F

実践表記

G – A♭ – B♭ – B – D♭ – E♭ – F

このように併記することで、「理論」と「演奏」の両方を自然につなげることができると思っています。

私は、音楽理論とは「正しい名前を覚えること」が目的ではなく、「自由に音楽を演奏できるようになること」が目的だと考えています。

その視点に立つなら、理論的な美しさと演奏上の分かりやすさ、その両方を大切にすることが、これからのジャズ教育には必要なのではないでしょうか。

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