アドリブ味見の会が成熟してきた理由──垂水で体験した「ジャズに聞こえる9つの扉」2026.9.15
昨日は、垂水でのアドリブ味見の会でした。
ご参加は4名。
すでに何度か参加してくださっている皆さんに加え、サポーターの苔山航佑さんの古くからのお友達も参加され、充実した会になりました。

垂水でアドリブ味見の会を始めてから、もう一年以上になります。
これまでにも、さまざまな方が参加してくださいました。
その土地、その場所、その時に集まるメンバーによって、毎回少しずつ違う表情を見せる会です。最近、その会自体が、少し成熟してきたように感じています。
ゆるい会だけど、ガチなメソッドの延長にある
アドリブ味見の会では、同じ曲を何度も取り上げます。
一見すると、ゆるやかな音楽の集まりです。
しかし、その根底には、岡本メソッドという、かなり本格的な考え方があります。
参加者は、それぞれのペースで参加します。
そして、その都度、大きな気づきを得て帰っていく。
それが、この会の特徴です。
毎回の会は、参加者全員で作り上げられます。
だからこそ、ゲームの内容や進行の流れも、毎回同じではありません。
同じメソッドを使いながらも、その日のメンバーによって、まったく違う会になるのです。
「ジャズに聞こえる9つの扉」全部体験回
今回の垂水の会では、最近、少人数開催で導入している「ジャズに聞こえる9つの扉」の全部体験回を行いました。
初めて参加された方もいらっしゃいましたが、ゲームへの理解が非常に速く、思った以上にスムーズに進みました。
そして、最後まで9つの扉を体験していただくことができました。
現在のアドリブ味見の会のメニューでは、「ジャズに聞こえる9つの扉」の最初の2つの扉を中心に進めています。
なぜ最初にこの2つの音を選ぶのか。
なぜ次は4つの音なのか。
その設計の根拠が、参加者自身にも自然に見えてくるようなプログラムになっています。
これは、「ジャズに聞こえる9つの扉」を作る上での、大きな転換点でした。
岡本メソッドは、二つの仕組みからできている
現在の岡本メソッドは、「ジャズに聞こえる9つの扉」に集約されています。
しかし、この9つの扉は、大きく二つの仕組みからできています。
扉の1〜4:現在、新しく導入しているプログラム
扉の5〜9:以前から存在していたプログラム。しかし、その中には革新的な部分が含まれていた
今回、垂水で行ったのは、その後半部分。
扉の5でした。
実際の演奏の難易度で言えば、初心者でも十分に演奏できるレベルです。
そして、何より楽しい。
いつものように、ゆっくり課題曲を演奏し、最後には少し速いテンポにも挑戦しました。
通常のアドリブ味見の会とは少し違うテイストの中で、自然な歌回しを体験していただけたのではないかと思います。
参加者の皆さんの素晴らしい上達と、これからへの希望が、それぞれの心に響いた会だったと思います。
なぜ私たちは、一度アドリブ味見の会を作り直したのか
アドリブ味見の会には、実は最初、大きな失敗がありました。
それは、アイガットサロンでのことです。
私たちは、大人を相手にしているにもかかわらず、「大人は根拠を探す」という性質を、十分に理解していなかったのです。
アドリブ味見の会は、人間が母国語を身につける仕組みに着目して始まりました。
子どもは、学校で文法を習ってから会話を始めるわけではありません。
その言葉を使う社会の中で生きる。
そして、周囲の人たちとコミュニケーションする。
そうするうちに、自然と言葉の意味や使い方を身につけていきます。
アドリブ味見の会も、同じような仕組みを音楽で体験してもらおうとしたものでした。
ゲームに参加する。
音で会話する。
なんとなく根拠をつかみ、それを再現してみる。
その体験を、毎回違う参加者からなる「社会」の中で行う。
それが、アドリブ味見の会の基本的な考え方です。
大人は「根拠」を探す
しかし、ここに大人特有の問題がありました。
大人は、赤ちゃんのように、ただ体験するだけでは納得しないことがあります。
「なぜそうなるのか?」
「その根拠は何なのか?」
「ちゃんと説明してほしい」
そう考えます。
私たちは、最初、そのことを忘れていました。
演奏自体は簡単で、楽しい。
しかし、その仕組みの根拠がすぐには見えない。
その状態を体験してもらおうとしたのです。
ところが参加者は、演奏を楽しむよりも先に、その根拠を探し始めました。
「すぐにノウハウとして自分のものにしたい」
そういう気持ちが強くなり、説明を求めることに意識が集中していったのです。
そして、彼らは説明を抱え込み、結果的に自滅していきました。
これは、私たちにとって大きな反省でした。
それで、もう一度作り直した
そして、もう一度作り直したのが、現在のプログラムです。
お陰様で、今では毎回、充実した会が開催されています。
熱心なファンも、少しずつ増えてきました。
アドリブ味見の会は、社会的に意味のある活動だという自負があります。
音楽を通じて、人と人がつながる。
初心者でも、経験者でも、同じ場所で音を出せる。
それは、確かに価値のあることだと思っています。
しかし一方で、採算が合うほど、いつもうまくいくわけではないことも、はっきりしてきました。
アドリブ味見の会という、小さな社会
現在のアドリブ味見の会は、さまざまな経験値を持つ人たちによって成り立っています。
例えば、
アドリブに精通した人、プロ、リーダー
精通した人、相談相手、アシスタント
セミプロ
まあまあマスターし始めた人
何度も来ているが、まだ要領を得ない人
時々しか参加しない人
初めて参加する人
こうした人たちが、同じゲームを体験します。
ルールはシンプルです。
同じゲームを体験する。
音で会話する。
うまくいかないことや、人を責めない。
できる範囲で、お互いにサポートする。
この小さな社会の中で、それぞれが自分のペースで音楽を学んでいく。
それが、アドリブ味見の会です。
NPO京都未来音楽研究所という次のステージ
2026年の夏、6月9日。
私たちは、NPO京都未来音楽研究所を立ち上げました。
社会のためになるけれど、採算が合わない活動。
それを、活動の趣旨に理解のある人たちの参加や支援によって成り立たせる。
それがNPOという仕組みであるならば、今回の流れは、とても自然なものだったのかもしれません。
現在、年内のNPO京都未来音楽研究所による、「アドリブ味見の会」「岡本メソッドオンライン」の主宰化を目指しています。
まだまだ、これからです。
しかし、少しずつ形になり始めています。
多くの方にご参加いただき、そして、この活動の意味をご理解いただけたらと思っています。
これからのアドリブ味見の会
アドリブ味見の会は、土地ごとの事情や、参加者の状況を毎回乗り越えながら、少しずつ成熟してきました。
垂水での活動も、その一つの成果だと思います。
人数が多い日もあれば、少ない日もあります。
しかし、人数だけでは測れないものが、確かにこの会にはあります。
音楽を通じて、人が変わる瞬間。
昨日できなかったことが、今日は少しできるようになる瞬間。
そして、それを周囲の人たちと一緒に喜べる瞬間。
そうした時間を、これからも大切にしていきたいと思います。
次回の垂水でのアドリブ味見の会は、10月31日(土曜日)です。
今後の開催予定については、こちらをご覧ください。




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